その時、俺の脳裏に百合が残した手紙の内容が鮮明に浮かんだ。


確か弁当が扉に掛かっていた日は、塾通いの女子高生から指を貰った日だった。

それに、弁当の袋に入っていた手紙には、"今日もいない"と書いてあった。俺が最近夜留守にしたのは、あのホームセンターの店員から指を貰った日だけだ。


百合……


そう言えば、初めて高山が来店した日、百合は言っていた。同じ高校の先輩だと。

しかもあの様子だと、顔見知り程度ではなく、かなりよく知っている雰囲気だった。


百合――!!


百合しかいない…
高山に俺の事を話したとすれば、もう百合しかいない。

俺が唯一安心出来る存在だったのに…
唯一の心を許せる相手だったのに。

その百合が、俺を高山に売った!!


そうか分かった…
あの2人は、高校の時に恋人同士だったんだ。

運命的な再会をし、百合はしがないジュエリーデザイナーよりも、エリートを選んだんだ。


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