俺は目の前の固定電話と作業場の扉を見て、つい押し黙ってしまった。

高山は俺の様子を見て、カウンターの中に入ろうとした――

「その作業場が怪しいんだよ!!
何かがあるに違いない。中を見せてもらうぞ!!」


俺はカウンターの出入口の前に回り込むと、毅然とした態度で言い放った。

「高山さん、それは不法侵入でしょう。
家宅捜索ならば、令状がある筈です。令状を提示して下さい。さもなくば、警察に通報しますよ」

令状など持っていない事は明白だった。証拠がある筈がないのだ。
俺は更に付け加えた。


「自分の妄想で無実の人を陥れては、将来の出世にも影響するでしょう。
早くお引き取り下さい」

高山は中に入る事を諦め、舌打ちをしながら店の扉の方に向かってゆっくりと歩き始めた。

そして扉に手を掛けた時に振り返ると、不敵な笑みを浮かべて言った…


.