俺は平然と、当然の様に言い放った。
「ああ、奥の作業場にいたら電話の音は聞こえないんですよ。
すいませんでした…」
舌打ちが微かに聞こえ、高山の口調が厳しくなってきた。
「葉山さん、あなた上階の女性を手に掛けておいて、よくもそんなに平然としてられますね!!」
「だから、一体何を言ってるんですか?」
俺は更に、まるで挑発するかの様に素知らぬ顔を決め込んだ。
その瞬間、何の前触れもなく電話がブチりと切れた。
やはり、高山は俺を疑っている。そして、今回広田さんを襲った事で更に疑惑を深めた様だ。
だが、あの床に落ちた血痕だけで、こんなに俺をターゲットにするものだろうか?
いや…
今はそんな事よりも、早く紙袋から広田さんの左手を取り出して、俺の傑作を嵌めよう。
あの時渡した指輪よりも、今の作品の方が数段レベルアップしている。
高山…
とんだ邪魔が入り、すっかりテンションが下がってしまった。
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