俺は左手首が入った紙袋を無造作に持つと、そのまま電車に乗り込んだ。

普通に紙袋をぶら下げて乗降口付近に立っている俺を、気にする乗客等全くいない。


やがて下車する駅に到着した俺は悠々と改札を抜け、自分の店へと帰った。

今頃高山は、俺の通報により現場に急行しているに違いない。人間なんて愚かな生き物だ。全体像が全く見えない…


「ふふ…ははは!!」

歩きながら高笑いする俺の真意を、一体誰が分かるというのだろうか。



店に帰ると鍵を開けて中に入った。


セッティング通りに扉に向けたスタンドは、煌々と俺が店内にいる事を周囲に知らしめていた。

俺は店内の照明のスイッチを入れ、スタンドを片付けた。


俺の計画通りだ。
何も問題はない。



その時――

不意に目の前の固定電話が鳴り響いた!!


な、なんだ?
こんな時間に店の電話が鳴るなんて…


「はいボックスです」


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