おっと、紙袋を外して耳を切っておかなければ…


俺はビニールテープを、巻いた時とは逆にグルグルと巻き取り始めた。

適当に巻いた為か、外す作業もそんなに面倒ではなかった。


ビニールテープが外れ紙袋を頭から抜き取ると、唾液とも胃液とも言えない液体が中にベッタリと付いていた。

俺はそれを近くにあった汚れたタオルで拭き取り、その中に手首を入れた。


「さてと、耳を切り落として帰るか…」

腕の皮を切ったナイフで、今度は耳を切り落とした。
このレアのステーキを切る時と同じような感覚にも、もうすっかり慣れてしまった。

切り落とした耳も、紙袋に放り投げた。
そして更にオノとナイフを入れると、立ち上がった。


「あ、そうだ」

車庫から出たすぐの歩道上に、広田さんの携帯電話が落ちていた。

それを拾い上げると、おもむろに電話をかけた…


「はい、こちら110番。
どうされました?
もしもし?
もしもし!!」


携帯電話を車庫の中に放り投げると、俺は笑いながら駅へと向かった。


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