「ごめんね…」
俺は広田さんの耳元に顔を近付けて、そっと囁いた。
「余りにも、後頭部が心地良い音を立てるものだから、危うく殺してしまう所だったよ…」
俺は上体を起こすと、すっかり力が抜けて狙い易くなった左手首目掛けてオノを降り下ろした――
今までの指とは違い、手に痺れる程の衝撃が伝わってきた。
それはそうだ。
いくら手首が細いとはいえ、指の10倍近い太さがある訳だ。
それでも、思い切り勢いをつけたオノは骨を竹を引き裂く様に断裂し、床まで到達していた。
広田さんは既に半死の状態だったらしく、手首を切り落としても全く反応がない。
当初の目的通り、手首を持ち帰ろうと握手をする様に握り持ち上げたが、腕の皮が完全に切れていなくて腕ごと持ち上がった。
「ちっ…」
俺は耳切り様に用意していた内部で、皮を切り裂いた。
その瞬間、腕が勢い良く床に落ち、再び埃を舞い上げた…
.



