俺は広田さんを、車庫に積まれた工具やタイヤの間に俯せに倒した。
そして、いつもの様に馬乗りになると、ズボンの背中側に差していたオノを手にした。

その反動で車庫に、普通なら息苦しい程の埃が飛散したが、この時の俺には全く何も感じられなかった。


身動きもせずそのまま顔から床に崩れ落ちた広田さんの左手首に狙いを定め、右手に持ったオノを振り上げた。

あとは、真っ直ぐにオノを降り下ろすだけだ。


その時――

今更の様に、事態を把握した広田さんが暴れ始めた。


あと5秒静かにしていてくれれば、簡単に済んだものを!!

くそっ


オノの刃の無い側で、後頭部を打ち付けた。

1回、2回、鈍い音が車庫内に反響し、まるで何かの楽器を鳴らしているかの様に耳に入る…

俺はそれも楽しくなり、リズムをとりながら後頭部を叩き続けた。


ふと我に返った時には、広田さんはグッタリと大の字に踞っていた。


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