街灯の微かな灯りが作り出す薄暗い影が、歩道に伸びてくる…

そして、全神経を集中し虫の羽音までも聞こえてきそうな俺の耳に、広田さんの呼吸音が聞こえてきた。


俺は持参した紙袋をしっかりと持ち、車庫の壁にへばり着いた。

次の瞬間、広田さんが俺の目の前を携帯電話を操作しながら通過しようとした――


俺は倉庫からスッと背後に回ると、紙袋を頭に被せ…

そして、何が起こったのか分からず声も上げられない広田さんを、強引に車庫の中に引き摺り込んだ。

そして、紙袋の口を頭から抜けない様に、車庫にあったビニールテープでグルグルと何重にも巻き上げた!!


紙袋は俺の顔を見られない為に被せたが、叫び声を上げた時に音量を下げる効果も狙っていた。

しかし極度の恐怖感に襲われると、人間は声すら出せず、ただ全身がガタガタと音を立てる程震えるだけの様だ…


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