改札を抜けると、俺は広田さんの自宅迄の道を下見しておく事にした。
予めインターネットで地図検索をして見当は付けていたものの、現場を見ておかなければ今回は顔見知りだけに、失敗は許されない。
駅を後にした俺は、駅前の道を左に曲がった。
この辺りはもうかなり郊外で、駅前に数件の店が並んでいる以外民家ばかりだ。
しかも、駅の周辺に密集しているだけで、500メートルも歩けば家はまばらになり田園風景が広がる…
どこでもポイントになりそうだが、逆に目立ってしまう。
歩道を歩きながら、絶好のポイントを探していると、前方に灯が点いていない民家が見えた。
俺はその道端に建つ家に、小走りで向かった。
「これは、誰も住んでいないな…」
その一軒家に着き中を覗き込むと、庭に草が生い茂り、駐車場には厚い埃を被った荷物が積まれていた。
ここだ…
ここしか、待ち伏せなが出来る場所はない。
.
