計画は万全だ。
俺は銭湯に入ると脱衣場には行かず、靴を持ってそのまま勝手口から外に出た。
そこから裏道に出ると、5メール程先の住宅と住宅の間にある幅が1メートルにも満たない抜け道に入り、更にもう1本奥の道に抜けた。
もし高山が追ってくるなら、絶対にこの道を通らなければならない。
俺は抜け道の出口が見える場所で暫く息を潜め、誰も後をつけていない事を確認して駅に向かった…
駅に着き改札の上にある時計を見ると予定より30分早かったが、構わずに電車に乗り込んだ。
久し振りに乗る電車はちょうどラッシュ時と重なっていた事もあり、結構混雑していた。
それでも電車に乗り込んだ時に、一番扉側の席が空き、そこに座ることが出来た。
だが、俺はその席に座るべきではなかった。
座っていると、ちょうど目線が立っている乗客の手の位置になる為、自分の周囲にある手を見回しながら気が昂ってきたのだ。
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