「…私は、空輝のお母さんに空輝のこと忘れてって言われて
忘れようと、ずっと過ごしてきた。
でも、忘れることなんて出来なかった。」

「だって、空輝のことが好きで、空輝と過ごした時間が
凄く楽しくて、忘れれるはずないの。
誰の隣にいても空輝はずっと私の中にいた。」


玲「……そっか。」


「でも、玲欧と出会って、玲欧の隣にいて安心したんだ。
暖かい気持ちになったよ。でも、堀江美雨乃が
玲欧の隣にいるようになって、凄く寂しくなった。」

「私の居場所はないんだって思った。
流輝や透が私の隣にいてくれたけど、
ずっと寂しかった。
そう思う度に、空輝がいるって思ってた。」


玲「…もし、俺があの時言ってたら、俺の隣にいたか?」


「玲欧にその感情はなかった。
でも、もしかしたら、少しだけ揺らいでたと思う。
だけど、もしなんてないんだよね…。」



私はへにゃと笑った。



玲「そうだな。」



それから私たちは他愛のない話をした。
さっきの話が無かったかのように。



トンッ



人とすれ違いの様に当たってしまった。



「すいません。」


?「こちらこそすいま…せん…。」



お互い見開いた。
だって、そこにいたのは友達だと思ってた人がいたから。



「渚央。」


渚「結愛。」



私は渚央の隣を見た。



渚「…より戻したの。結愛が言ったこと本当だった。
その時のプレゼント、貰って。
それから、聞いた。
あの時、結愛に彼氏がいたことも。」


「そうなんだね。」


渚「ごめんね。話を聞かなくて。」


「…いいよ。誤解が解けてよかった。」


渚「1年経ったけどね…」


「そうだね…笑」



2人で笑った。



渚「また、話そうね。」


「うん。」



そう言って、別れた。
寄りが戻っててよかった。

心に空いてた穴が少しずつ埋まっていく。



玲「よかったな。」

「うん。」