あの夜、奏心とお兄ちゃんに聞かれた。

“どこにいたの?”

普通なら答えれたと思う。

でも、それは疑いを向けた質問に私は聞こえた。
何もないって言われた時、それが決定的な答えに聞こえた。


それから、私は夜中、最低限な物をもって家を出た。
みんなから逃げるように。



「ここまで来たら大丈夫かな…?」



行く場所を決めていなかった私は、電車に乗って最終まで行って、ひたすら南に向かって歩いていた。




目の前に海が広がっていた。



もし、海の中を歩いていったらどうなるんだろう?
どこか遠いところへ行けるのかな?



私はそう思い海に向かって歩いていった。




ビチャビチャッ




冷たい。


でも、いいんだ。
だって、誰も知らない所に行きたいから。




?「っ結愛!!」