偽りの翼Ⅰ 


学校。
 

いつもと、なにかが違う。


皆が、私の方を見ている。


これは好奇の眼…?


「おい。」


私は突然の呼び止めにびっくりした。


なぜか――――


それは、私を呼んだ相手が透…桜風の総長だったからだ。
 

「な、に?」


透とは、もう話したくもない。関わりたくもないし、視界にも入れたくないくらいだ。



桜風に裏切られたってことよりも透に裏切られる方が辛かった。



守ってやるって。


そう、言ってくれたのに。


「お前さ、"影を舞う蝶"なの?」


いきなり話しかけてきたと思えば…。


「そ~だけど??」


「……。…なんでだ?どうして、」


もう、守ってもらう必要なんてない。


透にとっての私なんて、彼女として思われてすらなかったのだから。


透が言いたいことが分からない。


「もう、行っていいかな。」