「この、唐揚げね。おねえちゃんが教えてくれたんだ…」
そう言って百合香おばさんは微笑んだ。
百合香おばさん…
「そう、なんだ…。お母さんが…」
しばらく沈黙が続いた。
百合香おばさんは、今までどんな思いで過ごしてきたのかな。
私だけが助かって…
「暗い雰囲気になっちゃうから、この話はやめましょうか!」
そう言って百合香おばさんは手をたたいてご飯を食べすすめた。
一番辛いのは一人残された百合香おばさんだ。
私がいつまでも悲劇のヒロインぶってるから百合香おばさんが傷つくんだ。
ダメだ、ダメだ…
せっかく遊びに来たのに…
よし、気持ちを切り替えよう!
「ほんとに唐揚げ美味しーっ!」
「そうでしょう?もっともっと食べてきなさい!」
百合香おばさんはそう言って私に笑いかけてくれた。

