偽りの翼Ⅰ 






 

でも、そんなことはなかった。



俺達の関係が壊れたのは、



突然だった。





「透、好き。」




この、美穂の一言がすべての始まりだった




いや、俺と美穂が出会ったことがすべての始まりだったのだろうか。





「付き合って下さい。」



当時の俺は彼女なんていらないと思ってたし



恋だの愛だのくだらないと考えるような男だった。




「ごめん。俺、美穂のことそういう風には見れない。」




美穂に軽蔑までした。



お前もそういうやつだったのか、と。




「……………っごめ、わたしっ」



美穂はそう言って駈け出した。




俺は別に追いかけたりしなかった。




あんなことになるなんて、思いもしなかったから。