とうとう初めての授業が始まった。

「知佳です。よろしくお願いします。」

最初は、お互いの自己紹介から始まった。


偶然にも先生は、あたしの高校の卒業生だということが分かった。

先生は穏やかに笑いながら数学の苦手な分野や春休みの課題の内容や進行状況などを聞いてきた。

「懐かしいなぁ。俺もこんな課題のテキスト解いていた気がする。問題量がさ、半端なく多いから、結構大変だもんね。」

先生が、中身が真っ白な課題のテキストをパラパラめくりながら笑っていた。

「じゃあさぁ、春休みの課題が終わってないみたいだし、春休みの課題を中心に一緒に勉強しようか。知佳ちゃんが次回の俺の授業までに頑張って20問解いて、わからない所を一緒に考えよう。」

あたしと先生は、春休みの勉強の進め方や15回の授業内容の予定を一緒に考えた。

授業中はずっとにこにこと穏やかに笑っている優しい先生だった。

あたしはやる気満々になった。

その日は、基本的な数式の復習をしながら、課題の中でも比較的基本的な問題を選んでもらい、一緒に解いた。