昼休みに、スタッフルームでお弁当を食べながら取材のことを話すと話は盛り上がった。

「佐藤ちゃん、テレビに出ればいいのに。」

そう言ってくれるおばちゃん介護士の横から、オオイシ君がすかさず
「彼氏募集の立て看板作りましょうか。」

そう言ってくるから、話はあたしの彼氏の話にずれてしまう。

「うるさいよ、オオイシ君。もう次にまた同じこと言ったら、覚悟しておいてよ。」

あたしも苦笑いしながら話していた。
 
 
 
当日は、いつもより早く起きてメイクも念入りにした。

いくらテレビに映らないからといっても、何があるか分からないと思ったからだった。

職場につくと、いつものように現場に出て仕事した。

お昼を過ぎて約束の時間、取材の方が来院されたとの内線があり、あたしは主任とともに応接間へ向かった。

「失礼します。」

主任の後ろについてお辞儀をして応接間に入った。


そこには取材スタッフの2人がいた。

一人はカメラマンの男性、そしてもう一人の男性。


その男性の顔を見た瞬間、あたしは息も出来ない程に固まってしまった。