小学生になったばかり。
同じ町に住んでいる皆と、初めて会ったとき。
最初に目があったのが、七瀬 翔(ななせ しょう)だった。
七瀬は、とても目つきが悪く、睨まれているような感じがして苦手だった。
私は、その場からすぐに離れて、母の足元へと逃げた。
人見知りはこのころから、激しかった気がする。いや、激しかった。

大人たちは、町のことでなにかを話しているようで、私はつまらなくなり、1人で床に座っていた。

「こんなところで座ってたらつまらないよ、一緒に遊ぼ!」

ひとりぼっちの私に優しく話しかけてくれたのは、七瀬 翼(ななせ つばさ) 七瀬 翔の実の姉だった。
翼姉ちゃんは、七瀬とは違って優しそうな顔立ちだった。
タレ目で、口角も上がっていて、優しい雰囲気を出しているので、すぐに私は仲良くなれた。
翼姉ちゃんは、私の2歳上で、七瀬は1歳上だと後から知った。

町の人の集まりが終わる時間まで、私と翼姉ちゃんは遊んでいた。
少し、視線を感じていたような気もしたが、気にしなかった。

「じゃあ帰るね。ありがとう、翼姉ちゃん!」
「うん、こちらこそ!」

お互いに小学校低学年だったので、大きな声で言葉を交わしていた。
もちろん、親にも聞こえる。
そこで、話を聞いていたお母さんは言った。

「あのね、翼ちゃんのお家は、真美のお家のお隣さんにあるんだよ。だから、一緒に帰れるのよ」

その言葉を聞いて、翼姉ちゃんと私は喜んで飛び跳ねた。
そうして、私たちは一緒に帰ることとなった。