青空の下月夜に舞う 3

どんどん近付いてくる。

美舞の面子じゃないの?

でも頭のどこかに、バイクでパン屋の前に集まった事がないのが分かっているから、嫌な予感しかしないんだ。


数秒間、フリーズした後……


「……いっ!」

祐也に思いっきり手首を掴まれ、田中医院と、隣の建物の僅かな隙間に体を無理矢理押し込まれた。


痛く感じた手首に、思わず声を上げたけど。


間一髪。

私が隙間に入って、直ぐに、パン屋の角を曲がっただろう数台と思われるバイクが、祐也の前に現れた。



ドッドッドッドッ……
太く唸るバイクのエンジン音。


それだけでは私には、誰なのかがわからない。

だけど、祐也が私を明らかに隠し、今も声を出さない。