停留所のベンチに座り、もう歩く気配がない響。

54分。待つしかないよね。

住宅街から、少し離れたこの土地。
私も知らない事はないけど、響が言った通り、買い物出来る様な場所もないし、近くに大きな公園があるのは知ってるけど、行ったことはない。

一人分くらいの間を開けて、私もベンチに座ると、軽く息を吐いた。


「何で寝たんだ」


軽くこっちを見て話す。

一度目を合わせたけど、直ぐに反らし、視線は自分の靴へと向けた。


「眠かったから、でしょ」


ちょっぴり嘘。
眠くはなかった。

だけど、瞼を閉じて、意識を手放そうと考えていなかったのに、いつの間にか眠ってしまっていたんだから。

結果的に、眠かったから、が一番の正解だと思った。