優しく抱きしめられていた筈なのに。
体をよじっても、雄大の腕の中からは抜け出せない。
「久しぶりの麻衣の匂い。それだけで俺、ここで押し倒したくなるよ」
「……!!」
言葉にゾッとする。
雄大ならやりかねない、と。
その気になれば平気でやってしまいそうだと、抜け出そうとしていた体が硬直。
「いい子だね」
そんな私に、クスクスと笑い声を漏らす雄大。
ゆっくり。
私の髪を後ろからかきあげて。
耳と首筋を出すと。
「……っ!」
ーーチュッ、と。
耳に響くリップ音。
首筋から舌を這わせ、耳をくわえ……離れた。
「ビクビクしてるよ?麻衣」
嫌だ。嫌だ。
そう思うのに、体は固まって動かない。

