ーーグイッ……
背後から。
腕を引かれ、予想していなかっただけに、当然よろけて後ろに倒れそうになる。
それを。
ふわり。
優しく私の背中を包んだのは。
「久しぶりだね。こうやって抱きしめるのは」
ーー声を聞いた瞬間。
全身に鳥肌が立ち、一気に毛穴が開いた様な。
驚きと困惑。
だけど、その気持ちの更に上を行くのは……恐怖。
「“美舞”の言葉に騙されたでしょ?ダメだよもっと用心深くならなきゃ……」
「ひゃっ……」
後ろから抱きすくめられ、耳を……ぱくり。
髪の毛も一緒に口で挟まれて、声が漏れた。
「麻衣、相変わらず可愛い」
耳元で聞こえる、その声が。
私の頭を黒くさせ、思考回路を停止させる。
こんなことが出来るのは、
「ゆぅ……い、やめ……っ!」
ーー雄大しかいない。

