青空の下月夜に舞う 3





「ありがとう、は俺もだよ」




まさかの答え。

思わず目を丸める。


「誰も居ない家に帰らなくて済む。大体誰か居るけどさ。決まってる訳じゃないし。“麻衣ちゃんが居る”ってだけで、俺安心してる部分ある」


本当にまさか、だ。

そんな風に思っていたなんて考えてもみなかったよ。

言葉を言い終わった慶太郎は、ふふっと笑って。
自分の手で顔を覆う。


「ちょー、照れるんですけど。麻衣ちゃん、たまには“ちゅー”ぐらいしてよ」

「しないよ」

「ひどっ」

「そんな事思ってないくせに」

「確かに!」


手をどけると、あははははっと。高らかに笑った。

“周りの気遣いを、当たり前だと勘違いしちゃいけないよ”

雅也さんの言う、ストローなのかは分からないけど。
早速行動に移した私は、少しはかき混ぜられているのかもしれない、と。

慶太郎の笑顔に、自惚れてもいいんじゃないかと、自然と笑っている自分がいた。