今日も島原で働く毎日。


 私の芸名は小夜サヨ。


 お客様の座敷へ向かう。


 今日の相手は常連さん。


 かなりの頻度で足を運んでくれている。


 名前は、藤堂はん、原田はん、永倉はん。


 いつも、この3人。


 いつも私を指名してくださっている。



美「失礼します。小夜どす。」



籐「よっ待ってました!小夜ちゃーん!」 


原「よっ!」


永「こっちこっち〜!」


 口調から見る限り、もうお酒は入っているらしい。


 
 
 それからはずっとお酌をしていた。



籐「ところで小夜ちゃん、猫夜叉って知ってるか?」



 一瞬ドキッと、したけど、すぐに冷静を取り繕う。



 私は猫夜叉としての世間の評判はあまり知らないからとぼけた。



美「猫夜叉?」



原「知らないのか?すげーんダゼ!猫夜叉って。」


永「そーそー!猫見たいに軽やかな動きで殺るってな!」



 え?なんで知ってんのこの人達。


美「見たことが、あるんどすえ?」



原「イヤ?ないぜ。噂だ噂。」



 良かった。ひとまず安堵する。でも、いい機会だ。少し、探ってみよう。



籐「だけどな、猫夜叉の殺しの現場は何度も見たぜ。」


永「あれだろ、鈴を残すんだよな。」



 ………………!!!


 確かに私は、浪士を殺したあと、近くに鈴を置いてくる。


 その鈴があったのなら、猫夜叉が殺ったということ。

 
 そんなことまで知ってるんだ。


原「あと、すっげーーー美人らしいぜ!」


永「丈の短い着物を着ているんだろ?」


籐「あってみてぇなぁー!!!」



 ぎゃぁぎゃぁと騒ぐ3人。


 今日も人を殺さなければいけない。



 私は座敷を出て、忍びの服へ着替えた。