そんな時、

「麻生!大丈夫か?気分悪い?」

と言って先生が洗面所の方に向かってくる。

起こしちゃったか…。

でもこんな姿見せられない。

先生には見せたくない。

「来ないで!」

急いで来た分、開けっ放しのままのドアに向かって力一杯叫ぶ。

大きな声が頭に響く。

頭を降ったせいか、めまいで視界がグニャリと曲がる。

同時に襲ってくる吐き気。

私はそのまま胃液しか出てこないのに、咳き込みながら吐く。

だけど先生は私の言葉を無視して洗面所に入ってくる。

するとかがんで背中をさすってくれた。

背中から先生のぬくもりが伝わってくる。

あったかい---。

こんなに人肌は温かいのだろうか?

涙がこぼれそうになるのを必死にこらえる。

少しずつ吐き気が治まってきて、口をゆすいだ。

「大丈夫か?」

「来ないでって言ったのに…。」

来てくれて嬉しかった。

ずっとそばにいてくれて心強かった。

でもあんな姿見せたくなかった。

”愛してる”

そう初めて言ってくれた人だから。

きっと嫌われてしまう。

「ほっとけるわけないだろ。苦しんでるのに。」