笑顔の裏側に

「行かないで‥。ここにいて‥。」

その声に振り返った。

「すぐに戻って来ます。だからちょっとだけ待ってて。」

そう言って忍びないながらも、手をそっと離した。

急いで荷物からさっき買ったポカリと持ってきた冷えピタを出す。

それを持って先生のところに急いだ。

すると、ベットから起き上がって、こちらに来ようとしている姿があって、慌てて制止する。

やっぱり一人にするのはダメだったかと思った。

でも今回は仕方ない。

先生の体のためには、水分を取ることが最優先だ。

「ごめんなさい。1人にして。もうずっとそばにいますから。」

そう言えば、安心したように笑う。

そのままポカリを少し飲ませた。

本当はコップに入れたかったけど、もうそれは諦めよう。

また無理されても困る。

もう一度横にならせて、冷えピタを貼った。

その間も先生は私の手を離そうとしなかった。

「ずっとここにいますから。安心して眠ってください。」

空いた方の手で先生の頭をそっと撫でれば、すぐに眠りについた。

それから30分ほど、ずっと手を握ったままそばにいたが、汗を拭いたほうがいいと思い、タオルを
取りに行きたいと思った。

でもここでまた私が居なくなれば、起きてしまうかもしれない。

そう考えると下手に動けなかった。

ゆっくりと起こさないように、慎重に手を離した。

それから少しその場で待機していたが、起き出す気配はない。