先生は読み終わったのか顔を上げた。

「まず冒頭はよく書けてる。でもここの1つ目の理由のところだけど、関係代名詞を使ったほうが文脈的にもスッキリするし分かりやすい。あとここのitが何を指してるか分かりずらいから、説明を加えるか具体的な単語に変えるか工夫が必要。」

「はい。」

先生の説明はすごく丁寧でわかりやすい。

私がどう表現したらいいかわからなくてあいまい書いたところは必ずと言っていいほど指摘が入る。

ただそれを私はしっかりと聞き入れ、来週までに直しておく。

そういうスタンスだ。

そうして今日もまた人目につかない部屋の隅に移動してキスをし抱きしめ合う。

今だにキスは慣れなくて、呼吸が乱れる。

でも先生は私が限界に達する前にちゃんと離してくれるようになった。

そうしてそのまま抱きしめ合う。

そこまでは良かったのだ。

先生が言葉を発する前までは。