「11年前に事故で死んだって聞いた。
詳しいことはオレも知らないけど。
それから昔住んでいた場所からこっちに引っ越してきたらしい。
こっちには父方のお祖父さんがいるから、今はそのお祖父さんと一緒に住んでいるんだ。
だからアイツの言葉って、少し古めかしいんだよ。
多分お祖父さんの影響だろうな」
お祖父さんと一緒に暮らしているんだ。
帰り送ってもらった日は、そんなこと一切言っていなかったのに。
「美空はジュースどれにする?」
「あたしはオレンジジュースにしようかな」
「ミッチャンで良いか?」
「うん。
…てかきーくん、あたしが買うよ!」
「いや、オレが買うよ。
真帆には、美空が買ったってことにすれば良い」
「きーくん……」
「奢らせてよ、美空」
「…ありがとう」
あたしは頭を下げて、買ってもらったミッチャンのオレンジジュースを受け取る。
きーくんはその後、真帆用のオレンジジュースも買ってくれた。
きーくんはお茶かな?
確か10年前も、この自動販売機で同じくお茶を買った気がするから。


