「これで、キサラギ ホクト…」
ホクトだから、ホクって呼ばれているんだ。
かっこいい名前しているじゃないの。
「美空も如月じゃなくて、北斗って呼んでみれば?
ホクでも構わないと思うけど」
「だってあたし、如月本人から名前聞いたわけじゃないもん。
勝手に呼んじゃいけないと思うんだ」
「ハハッ、美空って真面目だな」
「あと、彼女じゃないし、あたしは」
「そうなんだ。
傍(はた)から見れば、彼女に見えるけどね」
「ッ!?
何を言い出すの?きーくんは…」
「だって珍しいからさ、ホクが他のこと話すの」
そういえば真帆も言っていた。
きーくん以外の子と話すの珍しいって。
「ホクって授業中とかいつも寝ているし、今日は早かったけど、いつもは遅刻やサボリの常連でさ。
成績良いから多分先生も強く言えないんだと思う。
この間の罰掃除は珍しいんだよ、本当に。
普段アイツ人と関わらねぇから、滅多に話さないで帰るってことも珍しいことじゃねぇんだよ。
だけど最近アイツ、美空とは話すようになったよ」
そうだったんだ…。
あたしは過去の如月を知らないから、知らなかったけど。
珍しいことなんだ……。


