「しかし久しぶりだな、一緒に歩くの」
「そうだね……」
頭の後ろで手を組んで歩くきーくんに、あたしはぎこちなく頷いた。
脳内には先ほど如月に口パクで言われたことが、グルグル駆けまわっていた。
…何であんなこと、言ったんだろうか…。
「ホクトだよ」
「……へ?」
「あれ?違った?」
「…きーくん、何を言っているの?」
「ホクの本名知りたくて今、黙っていたんじゃないの?」
「ううん、違うの。
ちょっと考え事しちゃったんだ」
…そういえばあたし、如月の本名知らないや。
本人は教えてくれないし、聞くのさえも忘れていたよ。
「如月って、ホクトって言うの?」
「そう」
スマホを取り出したきーくんが、ラインに登録されているらしい如月の名前を見せてくれた。
<如月 北斗>


