て、手首!
何で如月掴んでいるわけ!?
「ふたりで一緒に買いに行ってこいス」
「は?」
「どういう意味だよホク」
「まんまス。
須藤のを転校生が奢って、俺のをキクが奢るっスよ」
「待ってよ如月。
負けた人が全員の奢るんでしょ?」
「俺たちは学生スから、それが1番良いスよ。
ほら、早く買ってくるスよ」
あたしたちの手首を離した如月が、ドンッと背中を押してきた。
きーくんが押された背中をさする間、あたしは如月を見た。
「ちょっと如月…何するの…?」
だけど如月は謝りもせず、人差し指を口元に当てた。
静かにしろって、どういうこと?
首を傾げていると、如月が口パクで何かを言っていた。
「……ッ!?」
如月……。
「……何しているんスか。
キクも背中をさすっていないでさっさと行くスよ。
自販でも良いから、さっさと買ってくるス」
「わかったよ……」
きーくんも見送ってくれる真帆も、如月が口パクで言ったことには気がついていないようだ。
あたしは真帆に手を振り返し、きーくんを追いかけた。


