もっと真帆に関して褒める場所はあった。
だけどあたしはそこで黙った。
それ以上言っても、空しくなるだけだもん。
余計に現実を突きつけられる気がするんだ。
「ごめん…ネガティブになっちゃって」
「駄目スよ」
「……は?」
いつの間にか立ち止まっていた如月を見るため、首を後ろへ向かせた。
前のふたりは気がついていないようで、どんどん進んでいく。
「相手がどんな人であっても、すぐに戦わないで諦めるのはどうかと思うスけどね」
「そんなこと言ったって……」
「好きなら好きで、突き通せば良いじゃないスか。
なにゆえおたくは諦めようとするんスか?」
「だって真帆は可愛いし性格も良いし…」
「だからって諦めるんスか?
それで諦められるほど、おたくの決心は脆いんスか?」
「だって……」
「だってだって言って、ただ逃げているだけじゃないスか!」
さっきまで眠そうにしていたくせに、今は目をパッチリ開けて、如月は見るからに怒っていた。
あたしは何も言えないで、ただ俯くことしか出来なかった。


