「あたし、以前こっちに住んでいたの。
それで引っ越して、また戻ってきたんだ。
きーくんは前に住んでいた頃に出会った友達だよ」
…そう、友達。
それ以上の関係になんてなれていない。
きーくんと呼んでいたのも、幼かったから。
何も知らない、純粋な子どもだったから。
「そうなんだ!
だからそんなに親しい呼び方なんだね!」
「…真帆も、きーくんと仲良いよね。
ふたりは、付き合っているの?」
昨日聞いた如月の話だと、付き合っていないって否定していたみたいだけど。
「…………」
真帆は否定も肯定もせず、黙ってしまった。
「ごめん…何か、聞いちゃいけないことだった?」
「ううん、違うの」
俯いていた顔を上げた真帆の顔は、真っ赤に染まっていた。
恥ずかしさを隠すかのように、下唇も噛んでいる。
…何、この顔……。