次の日。

学校までの、ようやく覚えた道を地図なしで歩く。




「美空ー!」



突然バシィンッと勢い良く肩を叩かれた。

ジンジンと痛む肩を押さえながら、振り向く。




「おはよう…真帆」


「おはよっ!
偶然だね、同じ道だなんて!

…どうして美空肩押さえているの?
もしかして痛いの?」


「ちょっとね…アハハ」




あなたのせいですよ、真帆さん。




「気を付けた方が良いよ!
肩痛いと、何もしたくなるかもしれないし」


「そうだね…気を付けるよ」




あなたが気を付けてくださいよ。




「そういえば美空って、キクくんと仲良いの?」


「……きーくん?」


「そう。
きーくんなんて呼び方、出会ってすぐに呼べないから。

キクくんは女の子の名前、殆ど下の名前で呼ぶから、あんまり関係ないみたいだけど」





きーくん…女の子は殆ど下の名前で呼ぶんだ…。

あたしが知っていたきーくんじゃ、なくなっている…。