「あ、ここあたしの家」




新しい家は、真っ赤な屋根が印象的な一軒家。

家の前にある小さな門が、以前住んでいたマンションにはなかったから、ちょっと嬉しかったりする。




「ふーん」


「何よ」


「別に。
何でもないスよ」


「そう?」


「あら、美空じゃない」



家の中から出てきたのは、お母さん。

手に財布だけ持っていた。




「ただいま」


「お帰りなさい。…あら、彼氏?
あんたも作るの早いわねー」


「違うよ。
さすがに転校初日で彼氏出来ませんから。

如月くん。
隣の席なんだ」


「そうなの。
初めまして~、美空の母です」


「如月です。初めまして」





あ、まともに喋っている。

いつも語尾に「ス」とかつけているから、何か新鮮。