「おたくは、キクが好きなんスか?」
「えっ!?」
何を言い出すんだコイツは!
「キクが好きなら、やめた方が良いスよ」
「……なんで」
「須藤真帆。
キクには須藤がいるからスよ」
「真帆……?」
確かにあのふたりは仲良かった。
恋人かと、間違えそうになるほどに。
「おたくが以前こっちに住んでいたのって、10年前だったスよね?」
「そうだけど……」
「じゃあキクの家何しているか、知ってないんスか?」
「きーくんの家?
確かお母さんがパートで、お父さんがサラリーマンとかって聞いたけど」
「その分だと知らないみたいスね」
「何を……?」
「キクの家はこの辺では知らない人がいないほどの大豪邸に住む、ぼっちゃんスよ」
「え……!?」
きーくんが?
大豪邸に住むおぼっちゃま!?


