「そういえばきーくん」


「何?」


「如月くんのことホクって呼んでいるけど、如月くんって下の名前何て言うの?」




鞄からお弁当を取り出しながら聞いてみると、きーくんが「え?」と如月くんを見た。




「おいホク。
オレと一緒に美空の案内役になったと言うのに、自己紹介していないのか?」


「俺は好きで案内役になったんじゃないスよ。
本来は転校生と幼馴染関係のキクがやるべきっス」


「お前、知らねーの?
何でホクが案内役になったのか」


「……知らないっスけど。
なにゆえスか?」


「ホクは確かに成績が良い」


「…いきなり何スか?」


「だけどホクは、授業中は寝てばかり、授業に遅刻してきてばかり、本来力を合わせるべき団体行事に一切目もくれない。

そんなホクだから、先生たちが考えたんだよ。
何か責任ある仕事を任せればキチンとやるんじゃないかって。

そこで現れたのが美空だ!」




あたし?




「転校してきたばかりで右も左もわからない美空の案内役になれば、ホクも真面目に授業や行事に出るんじゃないかって考えたんだよ」


「はぁ!?
そんなの、勝手に決められたこっちの身にもなってほしいっスよ!」




盛大に溜息をつきながら、バクンッと勢いよくパンに齧りつく如月くん。

どうやらお昼ご飯はパンのようです。