「そういえば如月くん、ホクって呼ばれていたんだね」


「あー、キクだけスよ」


「如月からホクは無理だから、下の名前?」


「そうスけど?」


「如月くん下の名前、なんて言うの?」


「おたくには関係ないスよ」


「何それっ!」




備品室に着いたのか、扉を開ける如月くん。

中へ入って机を見つけると、手のひらで埃を払ってくれた。




「ありがとね」


「何をスか?」


「埃。払ってくれて。埃まみれになったでしょ?」


「別に。
手を洗えば良い話スよ」


「そういえば如月くんって、不思議な話し方するよね」




マコトとかなにゆえとかおたくとかワッパとか。

…正直意味わからないんだけど。




「そうスか?
これが普通だと思うスけど」


「普通……?」




世の中の普通は、あたしの普通とは違うのか…?