あたしは
もう
きーくんと呼ぶほど幼くない
10年前と変わったことが
沢山ある
人も街も匂いも
ゆっくりと時間をかけて
変わっていってしまう
それは寂しいことだけど
同時に良いことでもあるんじゃないかって
あたしは思う
きっと新しくなった風景の中でも
変わらない何かがあるはずだから
新しくなった景色の中で
見つけられる何かがあるはずだから
「北斗っ!待って!」
「そういえば美空。
今度俺が直々に、勉強教えてあげるスよ。
この間は俺が解いてあげた、X=2の式もちゃんとわかるようにね」
「厳しくしないよう、お願いします…」
「美空の頑張りによるスよ」
10年間変わらなかった思いが
今、ここにある


