「そういえば北斗って、何で語尾にス付けるの？」




呼んでしまえば楽なもので。

さっきまで感じていた恥ずかしさなど、どこかへ吹き飛んで行った。





「……別に良いじゃないスか」


「ふ～ん、まぁ別に良いんだけど。
おたくとか古めかしい言葉も、お父さんの影響なんでしょう？

なら、スもお父さんの影響なんだろうね」


「……おたく、何を勘違いしているんスか？」


「へ？」


「父さんの影響なんて受けていないスよ？」


「え？
だって喜多さんが、古めかしい言葉はお父さんの影響じゃないかって」


「正直小さすぎて、父さんがどんな話し方をしていたのか覚えていないスよ」


「じゃあ、誰の影響なの！？」


「……秘密スよ」





あたしは、歩きだした北斗の背中を追いかけた。

…まぁ、いつか知ることが出来れば良いかな。




「ちょっと待ってよ北斗」


「早くするっスよ、美空」