「前はあたしを名前で呼んでくれたのに、今は何で転校生に戻っちゃったのよ。
あたし、転校してきてから日にち経っているんだけど?」


「別に良いじゃないスか。
転校生は、転校生のままで」


「如月~!」


「そう言う転校生は、なにゆえ俺を下の名前で呼ばないんスか?」


「は?
呼んでほしいの?」


「もちのろん、スよ」


「古ッ」


「ほら、さっさと呼べっス」


「……と」


「俺の名前はと、じゃないスよ」


「……ほくと」


「小さくて聞こえないスよ。
ほら、もっと大きな声で呼ぶスよ」


「……如月があたしを呼んだら呼んであげるよ」


「美空」


「……呼ぶの早すぎ…」


「呼んだスよ?美空。
ほら、呼んでみるっス!」


「……北斗」


「……合格」






ポンポンッと頭をなでてくれる如月、改め北斗。

その手つきはやっぱり、優しかった。