☆美空side☆
あたしは如月―――きーくんから、全部聞いた。
如月の家で起きた、あの喧嘩の原因も。
如月は、どうしても許せなかったんだ。
あたしを、過去をほしいと頼むまで好きだった菊人くんが。
あたしが引っ越した後に現れた真帆を好きだと言ったのが。
「…過去を俺は捨てて、アイツにあげたのに。
アイツは、須藤が好きだなんて言いだした。
…俺はキクなら、美空を大事に出来るって思って、あげたのに」
校内にある、お昼食べる時などに使うよう設けられた、フリースペースにある椅子に座って、如月は話してくれた。
「……ごめん、如月」
「…何で美空が謝るんだよ」
「あたし、知らず知らずのうちに、如月を傷つけていたんだね。
如月はずっと、10年も前からあたしを好きでいてくれたのに、あたしは勘違いして菊人くんが好きだなんて言っていて」
「…美空は悪くないよ。
俺の方こそ、美空を傷つけてばかりでごめん」
いつかの如月との帰り道、如月が言っていた。
菊人くんと一緒に自販機へ向かうあたしへ、如月が「ガンバレ」と言った。
だけど菊人くんから聞いたのは、真帆が好きだという気持ちだった。
何で応援したのかと問い詰めたあたしに、如月はただ
「わかるから」
と言った。