最初に目に飛び込んだのは、真っ白な天井だった。
そして白衣を着た、見知らぬ人間。
事故に合ったのだと、聞かされた。
両親が亡くなったことも、聞かされた。
その日は俺の誕生日だった。
仕事で忙しかった両親と、初めて旅行に出掛けた。
その途中事故に合い、両親は死んで、俺だけ生き残った。
俺を引き取ったのは父方の祖父だった。
両親を一気に失い泣きじゃくる俺を、黙って見ているような人だった。
俺は両親と住んでいた家を引き払い、祖父の暮らす家へと引っ越してきた。
新幹線に乗っても何時間もかかる場所。
見知らぬ土地に、見知らぬ風景。
初めて引っ越してきた日、再び泣きじゃくった。
そんな俺に話しかけてきたのが、彼女だった。
あどけない幼い笑顔で、彼女は1人でいた俺を誘って、遊びに出かけた。
毎日会っては色々な所に遊びに行き、夕焼け公園でお茶を買って飲んだ。
彼女といる時間が、凄く楽しいと思えた。
引っ越してきて、良かったと思えた。
だけど彼女は引っ越して行った。
俺は彼女と同じく、一緒に遊んだ幼馴染のアイツと一緒に見送った。
『ばいばい、きーくん』
涙を浮かべながらも、あの笑顔で笑う彼女に、俺は初めて、
彼女を好きだと気がついた。


