彼女を傷つけているのは、キクじゃない。
間違いなく、俺だ。
「…良い加減にするっスよ。
俺は何も知らないって言っているじゃないスか。
俺とおたくが会ったのは、おたくが転校してきた日。
それより前にあった記憶なんて、俺に存在しないスよ」
ほら、今も。
俺は彼女を傷つけ続ける。
俺は解けた彼女の手を握りもせずに、踵を返して歩いて行く。
行く宛てなんてないけど、静かな授業中だ。
どこか行ける場所がある。
…ごめん。
ごめんな。
ごめんな。
“アイツ”のことなんて忘れて。
“俺”のこと何て忘れて。
“キミ”はアイツを想っていれば良い。
例え叶わない恋でも。
“キミ”を良いと言う奴が絶対に現れるから。
……サヨナラ


