「相変わらず近所迷惑な奴スね」
「ごめんなさい……」
コトンッと、木のソーサーの上にお茶のはいった湯呑を置きながら、如月が溜息をついた。
湯呑に書かれているのは、綺麗な桜の木。
…割ったらウン十万払うことになりそうなほど、高級そうな湯呑だ。
そういえば昨日、喜多さんが乗っていた車も、黒塗りで高級そうだった。
そして今日、立派な和風のお屋敷。
…如月の家って、お金持ちなの?
「……何スか?」
「あ、ごめん。
ちょっと、気になったことあって…」
「何?」
「如月の家って…お金持ち、なのかな?」
「違うスけど。
何を勘違いしているんスか?おたくは」
「だって、この湯呑やお家、普通じゃないよ?」
あたしだったら絶対にあり得ないことだ。
「……じーちゃんのお蔭スよ」
「喜多さんの?」


