「あ、着いた。
ここだよ、来たかった場所」




きーくんが停まった場所を見て、あたしは目を見開いた。




そこは立派な、和風のお屋敷だった。

大きな木の扉に、紺色の瓦の屋根。

周りは真っ白な塀で囲まれていて、見るからに大きなお屋敷だとわかる。

こんな立派な和風のお屋敷、見たことないよ。




「きーくん、ここは…」




きーくんに問いかけるも、きーくんは無言でインターフォンを押した。

真っ黒なインターフォンが、よく聞く『ピンポーン』と鳴らした。



しかし数分経っても、声はしないし、誰か出てくる気配もない。

あたしは再度、きーくんの名前を呼んだ。




「しょうがねぇな……」




きーくんは溜息をつくと、木で出来た門に手をかけた。

そしてそのまま、横に開いて行く。




「きーくん!?」


「大丈夫。安心して」




扉を開けると、見えてきたのはこれまた立派な日本庭園。

大きな盆栽や、太陽に照らされて輝く水面が眩しい池など。

丁寧に管理されているのが、一目瞭然だ。