「それが今じゃこんなに仲良いんだもんなー」

「何が起こるか分かんないよね」


あたしね、加地くんと付き合ってた時はもう二度と蓮くんには会いに行っちゃいけないと思ってた。

だから必然的に中村さんにも会えないと思ってたの。

きっと梨花とシロとも、ちょっとずつ会わなくなっていくんだろうなって。勝手にそう考えてた。

蓮くんとまた付き合うようになって、やっぱり加地くんとはもう離れちゃうかなって思ったのに。

加地くんはきっとそうなればあたしが気にするってことを分かってた。自分から突き放して離れていくようなことはしなかった。

どこまでも優しい人。


「あの時も楽しかったけど、今も楽しいんだな。当たり前すぎて気づかなかっただけで」

シロの言う通り。

戻りたいと思うことはあっても、きっといざ戻れますよと言われたらみんな、やっぱいいやって断るんじゃないかな。

だってきっと、あの時よりももっと幸せだから。


「どうせこれからもあの時に戻りたいって言っちゃうんだよね。そんなもんなんだよ、きっと」

「口癖みたいなもんなんじゃない?」

そう言ってふにゃんと笑う蓮くんは、きっとこんな感情あたしたちよりも先に経験してるから分かるんだ。

みんなやり直したくて言ってるわけじゃないって。

それを知ってるからこの人は、いつもあたしの隣で笑ってくれてて、あたしや春を見守ってくれてるんだろう。


「大丈夫だよ、これからも変わんないから」

そう言って笑ってくれる彼は、きっとこれからもずっとあたしの大好きな先生であり大切な人であり続けるんだ。

‐END‐