「あのね、蓮くん」

「なに?」

「これ…」

机の上にポンと置いたそれを蓮くんはキョトンとした顔で見つめて。

しばらく固まった。


「あのね蓮くん、今日ね……わっ!」

多分それを理解したらしい蓮くんは、ドンッと音がするくらいの勢いであたしをギュウっと抱きしめた。

「これ、そういうことだよね?」

「ん、うん、蓮くん苦しいよ」

机の上に置かれたそれは、あたしだって今日初めて買って使ったもので。

妊娠検査薬と書かれたそれは、″陽性″を示している。


「俺の子でしょ?」

「もちろん」

「ほんとに、ここにいるの?」

「うん、病院に行ってないからまだ確定ってわけじゃないけどね」

抱きしめられてるから顔は見えないけど、声が嬉しそうなのが分かる。

いつもより強く抱きしめられて、苦しいけどそれが嬉しくて。蓮くんの背中に腕をギュッと回した。


「明日行こう!」

「え?」

「ほら、俺明日休みだし!」

「でも部活は?」

何この人、可愛い。

いつにも増してニコニコしてる蓮くんは、いつにも増して幼い。