翼に ―大切な敵―





「寂しい独身拓真くんをお誘いしてあげてんの」



「うるせえ、余計なお世話だ」



さすがに生徒には手出さないよね。
先生いい人じゃん。



「それじゃあ、夏休み彼女ぐらい作ってよ。心配だから」


「お前もな」



「ふふふ。……彼氏かぁ」



豪とずっと一緒にいるよ。
夏休みは。



「……すまん」


「へ?」


「お前、想ってる奴植物状態なんだろ?」



「なんで知ってるの?」



「すまん、理事長に頼んで少しだけ聞いた」



族のことは言ってなさそうだから、いっか。



「そっか。大丈夫だよ。あたし夏休み毎日病院通うつもりだし」



嘘じゃない、本当の笑顔で拓真に言う。



「お前は強いな」

「大切な人がいれば誰でも強くなれるんだよ。………だから、拓真もそういう人作りなよ」




「ふは。10も年下なやつにアドバイスされちまったよ。はいはい。分かったよ」



拓真が微笑んだ。

かっこいいよ。

大切な人が拓真にできたら、もう最強になる気がする。
さすが大人だ。