翼に ―大切な敵―




「起立」



帰りのHRが終わって帰ろうとする。



「あ、逢沢」


拓真があたしを呼ぶ。


「なに?」


「お前、今日放課後空いてるか」


「まあ、空いてるけど」



教卓側から話す拓真と掃除用具入れ側から話すあたし。


「じゃあ、放課後俺の手伝いしてくれ。」


「えー、なんで?」


「学年首位さんはよぉ、勉強しなくても大丈夫なんだろ?」


あ、勉強しないで首位取っちゃったから怒ってるのね。



「しょうがないな。拓真寂しがり屋なんだね。分かった」


「は?」



眉間に皺を寄せる拓真に近寄り、頬を両方ムニュっと引っ張る。



「怖い顔するとモテないよ」



なんて、全くあたしにとっては怖くないんだけど。